俺ん家の徒歩圏内にあるローソンが今月末をもって閉店することが分かった。
俺の通勤経路にはここのローソン、セブン、ファミマがあるのだが、朝はこの3つを1日ごとに回るように使っていた。 とくに件のローソンは他のコンビニに比べて数倍は歴史が古いので一番利用していた。
飲み屋街のど真ん中にあるお陰で、駐車場がなくてもいつも繁盛していた優良店だった。だのに何故? 俺自身、朝も夜もしょっちゅう使っていたし、コンサートのチケット交換も頻繁にここのロッピーでやっていたくらい。
先週丸々出張で居なかったが、その間に決定したのだろうか。その前に来たときには「閉店」の張り紙はなかった。 俺は思わず店員さんに聞いてしまった。
「閉店するんですか!どうしてなんですか?」
「オーナーさんがもうかなりのご高齢で…10年更新のローソンだともう厳しいとのことです…」
…そうか…そんな事情があったのか…
ここのローソンは俺は開店した時からの利用者だ。結婚する前から利用してるから出来てから少なくとも17年は経っている。更新期限が10年毎であれば、今年がちょうど20周年だったんだろう。
ここの以前の店長さんとは仲も良くて、俺が「○○が入荷したら嬉しいんですが」とか言ったらそれを優先的に品揃えしてくれたり、向こうから話しかけてくれる形で普通に会話自体良くしていた。ここ最近お見かけしなくなったので、もしかしたら辞めてしまったのかも知れないが。
このローソンの出入り口付近には地元のストリートミュージシャンのおっさんがよく演奏していた。俺自身もその向かい側の道路でやったりしたことがあった。もうそれも10年以上前の話だが。そのお陰で、この近辺にたむろしている客引きのおっさんらからは、今でもよく声を掛けられる。「もうここでは演らんの?」「たまには演りーや」…まぁ音楽活動そのものが大幅縮小になっているから、なかなか厳しいものがあるのだが、実際たまにはここで演ってもいいかなと思っていた。
恐らくこんな良立地を他のコンビニグループが見逃すはずもないだろう。近日中に別のコンビニになるのではと踏んでいる。
大したことはない、ただ、別の名前になるだけだ。品揃えも少し変わるだけだ。
だが、俺の中ではここは永遠にローソンなのかもしれない。
すっかり空の棚ばかりになってしまったこの場所にとって非日常的な空間の中で、俺は最後のサンドイッチとグレープフルーツジュースを買った。
ジュースの苦味がいつもよりなんとなくほろ苦く感じた。
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