久々のバンドライブなのにありえないミスを犯してしまい、荒みきった心で隣町のショッピングモールに注文していた品を取りに行った帰りの事。
俺の前に四人の家族が。駐車場の扉を出るところで、その家族の一番小さな少年、恐らく小1〜2くらいの子が振り向いて、俺に挨拶をした。
「こんにちわ」
俺は仏頂面だったが、作り笑いで返した。
「…こんにちわ」
すると少年は満面の笑みを浮かべて言った。
「色とりどりの素敵な服で、おしゃれですね」
…!(ちなみにステージ衣装のままで、俺にしては「色とりどり」の服だった)
俺は作り笑いから本当に笑みに変わって返した。
「君の服も色とりどりでおしゃれで素敵だよ」
少年の洋服は、本当に色とりどりの星がちりばめられている服だったのだ。
彼ははにかんだように笑い、照れたそぶりで
「あ、ありがとうございます。さようなら。」
と、足早に去っていった。
…
小2程度の台詞とはとても思えないというのはさておき。
彼は、俺が仏頂面だったから、笑顔にしようと思ってそういったのだろうか、それとも単に無邪気だったのだろうか。
いずれにしても俺の荒みきっていた心に渇きを癒す雨が降り、虹がかかったような、そんな気持ちになった。
あの少年は天使だったのだろうか。ふとそんな気持ちになった。
明日からの出張、ハードスケジュールだが何かいいことが起きそうだな。
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