昨日病院から脱走を試みた俺んちの婆さん。昼前に見舞いに行ったら、朝、勝手に自宅に帰ろうとしたらしい。当然止められそのことにちょっと憤慨していた。そして「大男」のことも事実として認識していた。とりあえず環境が変わったことによる記憶や意識の混濁も一因らしいと言うことで、特別に外出許可が出て1時間ほどドライブしてきた。これで多少落ち着くかと思ったのだが…
夕方、公衆電話から電話。婆さんだった。
「私はこんなところからはもう出ようと思っちょる」
…
意味が全くわからない。仕方が無いので病院に電話。事情を聞いてもらうと「腰が治ったら出ると言う決意らしいです」
…俺は違うと思う。わざわざ俺にそんな決意を公衆電話を使ってまで宣言する意味はないし、大体、あの電話の口調はそういう感じではなかった。明日にでも、いや、今すぐにでも元の生活に戻る。そういう決意にしか聞こえなかった。
まだ入院して4日目の夜を迎えただけ。環境に適合出来ないことでの単なる意識の混濁なのか。それとも、以前から不安視していた認知症が頭をもたげてきたのか。
今の時点ではそれはまだわからない。いずれにしても暫くは予断を許さない状態であることは変わりなさそうだ。
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