ストーリー:あなたは知っているだろうか?呪われた街ウツロの一角に、閉ざされた寺院がひっそりと立っているのを。誰一人として足を踏み入れたことのない、謎の老巧化した建物を。ブラックオニキスを求めて、冒険を続けていた戦士が旅を終え、戻った時に今まで閉ざされていた“寺院(Temple)”の扉が突然音もなく、開くのを見た。その内部からは、今まで感じたこともない何か不思議な力が感じられ、戦士達はその中に入っていけるのかどうか困惑していた。と、その時一人の年老いた村人が近づいて来た。そして、こう語り始めたのであった。
「Templeは、お前さんを呼んでいるよ。そこであんたは、炎の宝石、(Fire Crystal)を見つけるだろうよ。そいつは古代伝説の秘密を秘めているのさ。Fire Crystalはいくつかあるんだが、その全てを支配できるのはたった1つだけなんだ。それにそいつはTempleの奥深くのどこだかにあって、最強の魔法使いによって守られている。もしあんたがそいつを見つけたら、1番強力なCrystalを手に入れることが出来るだろう。だが、そいつに近づくにはある物が必要なんだ。しかし1つでもFire Crystalを手に入れれば、Templeに住みつく怪物と戦う時にFire Crystalはあんたに力を貸してくれるだろうよ。だが、最も勇気があって強い者だけしかFire Crystalの力を引きだすことはできんだろうなあ。それに、そいつを使えるようになるためには、大きな犠牲を払わねばならんだろうよ。もし、あんたがこの冒険に出かけるんだったら、あんたに運がさずかる様に祈ってやるよ・・。」
老人は語り終えた。戦士が老人に話しかけようとした時、突然彼の形は変化し始めてそれはついには大きな顔の石像となり、静かに闇の中へと消えていったのであった・・。戦士達はふと我に帰り、そしてTempleの内部へと足を踏み入れた。
ゲームシステム:これは「ブラックオニキス」の続編として1984年9月に発売された。5人でパーティを組み、テンプル奥深くにあるといわれるFire Crystalを手に入れるのが目的。今回は舞台がウツロの町からテンプル内部へと移る。但し、FD版にはウツロの町も存在しており、前作の町とは変わっている所がいくつかある。このゲームは前作のキャラクターデータがないと遊べない。ただキャラ自体は別にオニキスを取っていなくてもプレイは可能。でも、オニキスを取ると各人2レベルづつアップするのだから、やっぱりオニキスを手に入れてから乗り込むのが吉。
ダンジョンは全地下6階構造。戦闘システムは前作と同様だが、新たに魔法の概念が取り入れられた。ある人物(?)に会って戦士の中から2〜3人を魔法使いにしてもらうのである。逆に魔法使いが1人もいないとクリアは不可能。目的のファイヤークリスタルは魔法使いのみが入手可能だからだ。主人公はあくまでも魔法使い。戦士はサポート役だ。
魔法には戦闘時に使用するものと通常の探索時に使用するものとに大別される。→Spell一覧
戦闘位置の概念も加えられた。前方(画面右寄り)にいるほど攻撃を受けやすい。敵は最高10匹まで出現する。他の種類の怪物と一緒に出る事は無い。→モンスター一覧
他、「Amulet」という概念が取り入れられた。これはほとんどレベルアップしない戦士の能力をサポートするものである。戦闘でしか手に入らない。前作でいうところの魔力のかかった装備といったところだ。魔法使いは所持不可。スレイヤー系10種類、その他5種類の計15種類。
スレイヤー系:特定の敵に対して大きなダメージを与える物である。戦士のみ所持可能。効用はほとんど未確認です(^^; | |
・man slayer | 人間・ドッペルゲンガー |
・beast slayer | 不明 |
・orc slayer | 不明 |
・demon slayer | Balrog |
・lurker slayer | 不明 |
・mage slayer | Mage・Shaman |
・serpent slayer | Serpet |
・firefolk slayer | Vulcan |
・flyer slayer | Harpy・Dtetyl・Scree |
・undead slayer | Undead・Goone・Spirit |
その他 :キャラクター自身を強化する物。入手確率は低いものの、効果はslayer系よりも顕著である。基本的に戦士のみ所持可能。 | |
・healing | 歩き回っているうちに傷ついたLIFEが徐々に回復する。全てのアミュレットの中で最も役立つと言える。 |
・striking | 命中率上昇? |
・protection | ダメージ軽減? |
・power | STR強化。実際に比較したところ1.5倍〜2倍強化した。 |
・Speed | DEX強化。 |
また、歩き回っているうちに魔法のランプ・ルビー・サファイアを拾うことがある。ランプは強力な助っ人・Gennieを召還する物。いつでも呼べるが3回でランプは壊れる(また拾える)。ルビー・サファイアは魔法使いが所持する物で、ある魔法に影響を及ぼす。これがないと最後に行き詰まるので必須(SR版の場合)。また1人で同時に所持できない。つまり魔法使いは最低2人必要と言う事になる。
さらに、各キャラクターごとに「カルマ」という概念がある。善人度といったところか。最低が−50で最高が+50。これは前作ではあまり問題にならなかったが、遭遇する他の善人冒険者や町人に戦いを挑んできてこのゲームに入ると、当然最低になっている。はっきりはわからないが、アミュレットの入手確率に影響するようだ。あと、善人度が上がるほど対極に位置する悪の心を持った自分達(ドッペルゲンガー)と遭遇する確率も高くなるようだ。カルマは普通に冒険しているうちに良くなってくる。当然テンプル内で遭遇する他の善人冒険者達に戦いを挑んではいけない(笑)。
レビュー:まず、スタートして驚いた事が二つ。一つはLIFEが半分になっていること。これは数字上半分になったのでなくパラメータの表示上半分になっただけである。これは下層に行くに従って、より強力な敵が出てくる事を意味している(^^;
もう一つは前作ではミエナイマントだったはずの最強の鎧が見え見えになっていることである(笑)。なんかデザイン的に少し違和感があった(笑)。(左画像参照)最初の地下1階はオニキスを取っているキャラにとってはまだ余裕はある。モンスターもまだ弱い。薬局がない代わりにタダで補充できるクスリの井戸(?)もある。しかしマップは異様に複雑である。各階の広さは前作同様16×16のマスなのだが、いきなり落とし穴や方向転換のトラップ(これらはランダムに発生することもある!)に悩まされ、別の場所へ通り抜ける黒い壁(これは前作にもあった)等により、マッピングは至難を極める。とにかくまずは5人の戦士のうち、2人〜3人を魔法使いにすべく、Oracleと呼ばれる謎の人物(ストーリーに出てくる大きな顔の石像のこと)を見つけることが先決。オラクルに会ったら早速5人の中から選んで魔法使いにしてもらおう。通常は2人を魔法使いにする。1人だとゲームクリア自体不可能だし(後述)。魔法使いになるとそれまでのステータスが下がることは無いものの、装備は全て無くなり法衣と杖の格好となる。そして、頭上にMPを示すクリスタルが表示される。最初はレベル1の魔法使いでMPも少なく、使用魔法(spell)も弱いものばかり。そして戦いで経験値を積み、レベルアップして強力なspellを覚え、MPも増やして行く。
そう、このゲームの主人公は戦士ではなく魔法使いなのだ。地下奥深く戦って行っても戦士はほとんど経験値は伸びない(オニキスを入手したキャラ=レベル11〜12の場合)!あくまでも魔法使いのサポート役なのだ。これはとてもつらい。だからオニキスでレベルアップする時、しっかりやっておく必要がある(目安は1レベル:LIFE=+7、STR=+4、DEX=+7)。魔法使いはレベルごとに衣装が異なる。これがなかなかかっこいい。全部で9種類(レベル9以上は同じ法衣で変わらない)。ウツロの町に戻るとそれぞれに対応した町人服になっている。
Lv1 |
Lv2 |
Lv3 |
Lv4 |
Lv5 |
Lv6 |
Lv7 |
Lv8 |
Lv9 |
魔法使いは戦士と違い、直接攻撃はほとんど無力だが集団攻撃魔法があり、なかなか重宝できる。しかも、自分のMP量により、敵の魔法に対して耐性がある。直接攻撃に対して防御力は皆無だけど、下手したら戦士を前面に立てるより魔法使いを立てたほうが良かったりして(^^;
さて、めでたく魔法使いにできたらここからが本番。早速2階へ降りて驚くことだろう。真っ暗である。考えてみたら「地下」なわけだし当然と言えば当然か(^^;魔法使いに「Light」を唱えさせ、明るくしよう。そして降りてきた階段が無くなっている事に気付く!実は階段は全て一方通行なので下りの階段で降りてもまた上りの階段を探さないといけない。遭遇するモンスターも魔法を使う者も出てきてとてもきつい。マップもめちゃめちゃ複雑だし、一方通行の壁やいきなり暴走する罠(ジャンプ)もあったり・・。ここからは敵の発生ポイントも非常に多い。モンスターや他の冒険者達との戦いに勝つと前作と違い、お金は手に入らず代わりに「ホウセキ」を手に入れることができる。これはウツロの町のどこかに開店している宝石商へ持って行きお金に代えてもらえる。でも使い道ないよなあ(^^;せめてお金でレベルアップが買えればねえ(笑)。
少なくとも魔法使いが「Run」のspellを覚えるまではあまり地下深く進まないほうがいいだろう。途中からはもうまともに戦っていられなくなるし(^^; クスリも一人5個までしか持てないからうかつにダメージをくらう訳にもいかないし。「Teleport」のspellを覚えれば地下深く落ちても戻れるからなるべく魔法使いを育てることを優先しよう。
さて、どうにか地下5階まで来ると一つの壁にぶつかる。前作同様色の変わる壁の謎だ。地下5階からはもうGiantクラスのモンスターが平気で10匹出現するからはっきり言ってまともな戦闘など望めない(^^;地下5階では壁の色が変わるポイントがあちこちにある。そして地下6階への階段を出現させるためには壁の色をある色に統一しなければならない。ヒントはどこにも無い(爆)。でも、ファイヤーだけに・・(笑)。
ところで先にも触れたように、魔法使いはレベルアップするが戦士はほとんど経験値が伸びずレベルアップしない。だが、戦士にも意味はある。それは「Amulet」を戦いで集めることである。アミュレットには大きく分けてスレイヤー系とそれ以外の2つがある。スレイヤー系はそれに対応する敵に対して強力なダメージを与える事ができる物。非スレイヤー系は主に戦士自身をパワーアップする物である。<別表参照>
スレーヤー系アミュレットは実際にはそれほど威力を発揮しないという話もあるが、この階まで来ると、戦士はアミュレット無しではもう赤子同然なので、収集にも必死である(笑)。うう、せめてクスリが無限大に所持できればなあ(泣)。あと、時々遭遇する敵キャラでとても嫌な奴の中で、ドッペルゲンガーがいる。そう、これは自分達と全く同じ能力を持ったキャラである。名前・顔だけでなく能力も全く同じ。負っているダメージまで一緒。違うのはドッペルゲンガーの鎧はいわゆる悪人鎧だ。こいつらは自分達とは対極の存在である。スターウォーズでルークがもう一人の自分自身と戦う場面があったけどこれはまさにその場面と同じと言える。いわゆるこいつらはダークサイドの自分達である。最後の一人を倒すまで戦いを挑んでくる!こりゃあブラオニのゾンビとかバーサーカー(モヒカン頭の狂戦士)と一緒だなあ。いや、ドッペルゲンガーのほうがタチ悪いな(笑)。もしパーティの中で1番DEXの高いキャラが魔法使いだったらそいつに「Run」を唱えさせ、確実に逃げよう。攻撃順番がDEXの高い順に味方A→敵A→味方B→敵Bだからだ。攻撃してもよけられる事が多いし(笑)。よってこいつらに遭遇したら迷わず逃げることをお勧めする(笑)。
ついに最下層地下6階である・・。このフロアは上下が赤くてなんかそれまでのダンジョンとは異空間という感じだ。で、1歩踏み出したらいきなり質問される。「魔法の合言葉は?」って。ここは答えるごとに道が変化する。ここを避けてファイヤークリスタルへ到達することはできない。今でも答えは不明だが色々適当に打ちこんでようやく道が開けた。多分決まった答えは無いのだろう(笑)。
「Detect」のspellも使いどうにか中心部の広場へとたどり着く。この階では「Knock」や「Run」・「Jump」を使うと四方を通りぬけられる黒い壁に囲まれたマスに出てしまい、また降りてきた階段のもとへ戻される(RunのspellはmkU版の場合違う)。ファイヤークリスタルがあると思われる中心の黒い柱へはどう行けば良いのか?ここで2人の魔法使いがそれぞれルビーとサファイアを所持していれば占めたもの。この2つの宝石は「Jump」のspellに影響を及ぼす。それまでは無作為に同じ階の中を暴走する魔法だったがこの宝石を所持すると、決まった位置へジャンプするようになる。どういう位置か?これはウツロの町の前作で言うところの、「イロイッカイヅツ」のメッセージのところの変化でわかる。そう、将棋の桂馬飛びである。ルビー・サファイアでそれぞれ右前方・左前方に飛ぶようになっている。マッピングすると一目瞭然だがこの広場に点在する柱の位置がまさにそれに合わせて点在している。どこかに中に入れる柱がある。これは「Detect」にもちゃんと反応する。その柱の中から桂馬飛びを繰り返して無事黒い柱の中に入る。でも何も起こらない・・。さらに一考を要する。ブラックオニキスは最下層からブラックタワーの中に入り、どんどん昇って地上2階で入手できた。ここも最下層まで降りてきてある意味黒の柱の中に入った。それにここまで各階に必ず黒い柱が1ヶ所存在した。同様に昇れるかと思ったが、階段は無し。人間の体では無理と言う事なのか?となると最後に使用すべきspellは・・!
思い出:これ、当時のパソゲーの時代背景を良く表している作品だと思う。何しろほとんどノーヒントだし魔法使いを育てるのも相当な忍耐力を要する。それと、どう考えても敵と味方の強さのバランスが悪すぎる(泣)。戦士が成長しないのはあまりにも痛い・・。それに魔法使いもレベルアップの割にステータスはあまり伸びない。とくにMPがあまり増えないのはこのゲームの面白みを半減させてしまったように思う。このゲームは敵から、魔法の「Run」で逃げまくればクリアは可能かもしれないが、これではRPGの醍醐味をそっくり削いじゃうようなものだから出来れば戦って進みたい。アミュレットもそうしないと手に入らないし。ブラックオニキスのように沢山の人々の記憶に残るゲームにならなかったのはこのあたりの要因が大きいのではないだろうか。
ただ、システム的にはいろいろ注目すべき点はあった。まず、前作で育て上げたキャラをそのまま引き継いでプレイするという点。一度育て上げた愛着あるキャラを次のゲームでまた使うというところは、大変魅力的だ。当時だと「WIzardry2」も同じ様にキャラを引き継いでプレイできた。現在だとプレステの「アークザラッド2」とか「幻想水滸伝2」がそうだけどそれぞれ2が発売された時1を久々にプレイし直したりしたもんね(笑)。また、ブラックオニキスがそうであったようにこのゲームもRPGを視覚でわかりやすく伝えようとしている点も見逃せない。とくに戦闘画面のレイアウトは見事。攻撃魔法はビジュアル的にも素晴らしかった。
私は残念ながらこのゲームを改造キャラでしかクリアしていない。でも皮肉ながら、改造キャラを使用して初めてこのゲームの面白さ・素晴らしさを知ったように思う。実はこのソフトの続編として「MOON STONE」の発売も予定されていて当時のゲーム雑誌にも開発画面等いろいろ特集されていたが、結局発売はされなかった。あれから約15年、今だに私のファイヤークリスタルのクリアキャラ達はウツロの町の出口で、その扉が開かれるのを待ち続けている(笑)。
おまけ:このゲームで戦士をレベルアップさせると、少なくともLIFEの最高増加がブラックオニキスよりも大きかったように思う(ブラオニでは最高+8)。だからファイクリでまず育ててからブラックオニキスを取り、それからファイクリを本格的に冒険するという手があるかも。でも、テンプル内には身体検査できる所が無いのでいちいちFDを数枚使いキャラクターデータをセーブしてウツロの町に戻り、検査をして育てるしかないからかなり大変だろうなあ。しかもテンプル内の敵は半端じゃなく強いし(笑)。さらにこの方法でまともにできるのはFD版だけだ。テープ版はロード時間が、ブラオニが約20分・ファイクリが約30分かかるから普通はやっていられないだろう(笑)。
あと、テンプル内で遭遇する善人戦士を味方にすると、どのくらいの強さなのか?私は地下1階で味方にした戦士を何人かウツロの町で検査してみたが、レベルは5〜8くらいでLIFEも結構高いんだけど肝心の中身はすごく弱かったように記憶している(笑)。魔法使いに至ってはLIFE・中身ともに町人並でしかないし(爆)。よって、普通にプレイするならばブラックオニキスで原住民(バーバリアン)を味方にして完璧に育て上げてファイクリをプレイしたほうがいいだろうなあ。
それと、テンプル内で遭遇する冒険者達(悪人含む)はその格好もバラバラだ。最下層でも革の鎧でバトルアックスを持っていたりしたしね。なんて勇気のある戦士だろう(笑)。さらに、テンプル内で味方にしたキャラでブラックオニキスのタワー地上2階に行くと、ブラックオニキスを手に入れることができる。ご存知のとおりブラックオニキスは一人1回しか入手できない。と言う事はこのキャラ達はオニキスを手に入れること無くいきなりテンプルに突っ込んで行ったことになる。う〜ん、すごい度胸だ(笑)。て、それ以前にストーリーにのっとって考えると、こいつらにテンプルの扉を開けてやった謎の老人(oracleのことです)もある意味すごい(爆)。
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(全文:全画像:お肉)
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